世渡り上手だけでは通用しない

高度経済成長期の日本は、とにかく大量生産・大量消費の拡大の一途の道を歩んできました。その時代に求められた人材は、全体を見渡し周囲と協調しながらも攻めの姿勢を崩さない、いわゆるゼネラリストでした。社内政治に精通し、流れを上手く読むことが出来る人が出世できるといわれていました。いわゆる、企業内の処世術がもてはやされていました。今でも、一部の大企業や役所組織の中などにその名残は見られますが、その効能は徐々に薄れているというのが実情でしょう。厳しい国際競争に晒されることが多い今の企業は、日本的な情緒や腹芸などで通用する甘い世界では生き残れません。この傾向は、日本の国際化に伴って強まっていると指摘されています。つまり、国際競争の激しい分野ほど、日本的な処世術が通用しなくなっているという考え方です。逆説的にいうと、国際競争に晒されていない分野ほど、未だに日本的な社内政治が幅を利かせているのかもしれません。そういった企業や職場でも、今後はグローバル化を視野に入れた新しい競争原理を取り入れていくべきでしょう。例えば、今後国際化が求められている代表的な分野の一つに、医療機関が挙げられます。世界市場を狙う成長産業の一つと目されているこの分野でも、新しい価値観の創生が必要かもしれません。現場で働く医師や看護師たちが有する世界トップクラスの知識とスキルが、日本の経済成長に寄与する日が必ず来るでしょう。医療機関内の院内政治や派閥政治などとはかけ離れた、全く新しい概念の処世術が看護師を始め医療従事者の間で拡がることが必要だと思います。